第95回
隣りの空き家の木の枝が伸びて越境しており、切除したいが
最近このような「空き家の庭の木の枝が伸びて通行の妨げになったり、落ち葉や毛虫で困っている」という、隣家の方達の悩みを耳にすることが多くなりました。
従来の民法では「越境した木の根っこは切除できるものの、枝の場合は所有者に切ってもらわなければならない」と、ちょっと首を傾げたくなるようなものでした。なので、このご相談者のように空き家で、しかも所有者が分からないような場合には、訴訟を起こさなければ解消できないようなケースさえありました。
しかし、今年の改正により次の3つのいずれかの場合に該当すれば、越境してきた枝を自分で切除することができるとされています。その条件とは、(1)所有者に依頼したにも関わらず相当の期間内(2週間程度と言われています)に切除してもらえない、(2)所有者を見つけられない、(3)急ぐ事情がある、です。また、枝の切除のために必要な範囲内で隣地に立ち入ることも許されるようになっています。
ただし、これらはあくまでも法律上のことであり、できればご近所トラブルは未然に防ぎたいものです。なので空き家の所有者は維持管理をしっかりして、常に周辺の住民に気を配る必要があると思います。でないと将来、もし空き家を売却することになった場合、ご近所トラブルを抱えていると色々な面で売却が進めにくくなり、結局自分に返ってきてしまいます。
(2023.12)