第90回
相続した不動産を放棄したいが、どういう手続きが必要か?
相続した田舎にある実家を売却しようとしたが、価格をいくら下げても買い手が付かず、いっその事放棄しようと思うがどういう手続きが必要なのか?というご相談でした。最近はこのようなご相談がとても多く、特にバブル期に親が投資用に購入した土地や需要の少ない地域での不動産を相続した場合、所有するだけで固定資産税が掛かり管理するのも大変だという理由で、無償でもいいから他人に譲渡したいという方は多いです。
しかし結論から言えば、不動産を放棄するということは簡単には出来ません。相続放棄という方法はありますが、これは資産や負債などすべての遺産の相続権を放棄することであり「預貯金は相続するが、この不動産はいらない」と選択することは出来ないのです。
また、いらない土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が創設され今年施行の予定ですが、これも様々な条件をクリアする必要があったり、負担金を納付する必要があったりで、簡単に放棄するという訳にはいかない制度のようです。なので、不動産の放棄について良い対策はなかなか見当たらないのが現状です。
そうなると、隣家に無償同然で買ってもらったり、建物があるなら解体して業者に買い取ってもらったり、空き家バンクに登録したりと、地元に詳しい不動産業者へ相談してみて解決策を見つけていく必要があります。
(2023.2)