第31回
親が介護施設に入所、住んでいた家を売却したいのですが?
最近は空き家を売却する理由の一つとして「親が介護施設に入所して戻る予定がないので、住んでいた自宅を売却したい」というご相談が増えています。
もしも、親御さんが認知症等で売却の意思確認ができない状態の場合であれば、売却するためには、どなたかが家庭裁判所に申し立てて成年後見人になる必要があります。しかし、特に問題がない場合には、代理人を決めてもらい、その方がご本人に代わって売却の手続きを進めることができます。
具体的には、まず初めに我々不動産業者が施設を訪ねて面前でご本人に売却の意思を確認した上で、委任状に署名・捺印をいただきます。それに基づき、その後の契約や決済等の手続きはその代理人と進めることになります(最終の決済前に司法書士がご本人に再度意思確認をする場合が多いです)。
また不動産を売却する際に、購入した時より高く売れて譲渡益が出ると、翌年の確定申告後に譲渡所得税が掛かります。この不動産が所有者の実際に住んでいた自宅であれば「居住用財産の3,000万円特別控除」という特例により、3,000万円までなら譲渡益が出ても税金は掛からないというありがたい制度があります。しかしこれを使うには「転居(施設への入所も含む)してから3年後の12月31日までに譲渡する」という期限がありますので、もしご事情が許されるのであれば、その期限を意識して売却を考えたいものです。